VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)をプレイした

総プレイ時間は6時間程度。おそらくエンディングは結構回収できているものの、二週目以降をやって選択肢をすべて見たいかと言われるとそうではない。のでここで感想を箇条書き。ネタバレ含む。

  • 話の総体としては「超治安が悪いサイバーパンク的世界で場末のバーに集まったり/集まってしまったり/一度訪れただけの人たちによる物語」。主人公はバーテンダー
    • ただ、大きな事件が主人公たちの力で解決するようなカタルシスはないし、会話の元ネタがいちいち込み入ったところにある。
    • ちょっと知識(これは割と多ジャンルに渡る)がないと理解が追い付かない場面があるという気はした。
      • 作中でChristine Love(Analogue: A Hate Story, Digital: A Love Storyなどの作者)の名前が出てきたのは流石に笑った。
  • 村上春樹のエッセイかインタビューに書いてあった「ジャズ喫茶を経営していた数年間で、一生分の他人の話を聞いた。だから作家になった(要約)」を思い出した。
    • 他人に打ち明け話をされるために存在する職業や場所というのはいくつかあり、作中でもそれが教会の懺悔室を引き合いに出して語られている。
  • ジル(主人公)は頭の回転が良すぎる。本当に。
    • 作劇上の要請だと思うがむちゃくちゃ頭がいい。バッドタッチで笑い転げるのはどうかと思ったけど。
    • 完全に機械のような印象を受ける。だからこそジルから打ち明け話をされるシーンは良いんだけど。
  • 南米文学というかマジックリアリズム系、いや『百年の孤独』とかでよく言われる「場所や舞台が主人公」という感じもする。
  • いちおうジルは物語のラストで過去と和解したり向き合ったりするのだが、彼女の人生はまだ続いていくし、このバーにやってきた人たちもそう。 *どちらかと言えば酒を片手にゆっくりゆっくり遊ぶゲーム。冒頭で作者からも言われるけれど。
  • 本編の前日譚になるデモとプロローグ、それからクリア後に出てくるエピローグは良かった。話にオチがつくわけではないけれど。
    • 柴犬なりコーギーなりが大挙してバーに来たら卒倒すると思う。
  • 同性愛や異性愛リリム(作中におけるロボットのようなもの)との恋愛についてはナチュラルに根付いている感じが良かった。誰も違和感を表明しない。
  • 一応作中でなんどか出てくるテーマじみたものとして「まがいもの(や、実物ではない/本物ではないんじゃないかという考え)」はジルが答えを出している。
  • それがまやかしであったとしても、実際効果を発揮しているなら別によくね? というのは結構核心に近い話だと思う。